(1)ダニエル・デイ・ルイス

優雅な容姿と確かな演技力に魅かれて

『マイ・ビューティフル・ランドレット』(85)のゲイのパンク青年役
(衝撃的かつ美しい!)で注目を集め、翌年、『眺めのいい部屋』で
は一変して良家のお坊ちゃま役、さらに『存在の耐えられない軽さ』
(88)ではプレイボーイの青年医師役で大ブレイクした英国美形演技派。
スレンダーな長身にスラリと伸びた手足、立ち居振る舞いの優雅さ。
面長な顔立ちに、思考する深い眼差し、気品あふれる鼻梁、そしてキ
リリと引き締まった口元。身体のパーツ一つ一つも美しい。たとえば、
手である。筋張った長い指が女の頬にふれなんとすれば、女はたちま
ち目まいを覚えるにちがいない? そのT美しい手Uは、女に限らず
男たちにも称賛?されたものである。

 彼はどんな役でも見事になりきり変身していくいわゆるカメレオン
役者と呼ばれ、実に多彩な役柄を演じてきた。主なところを拾ってい
くと、アカデミー主演男優賞を受賞した『マイ・レフトフット』(89)
の身体の不自由な脳性麻痺のアーチスト、『ラスト・オブ・モヒカン』
(92)はインディアンに育てられた野生児、『エイジ・オブ・イノセン
ス/汚れなき情事』の忍ぶ恋に身をやつす青年、『父に祈りを』は爆
弾テロの嫌疑をかけられ、最後には父と自分の名誉のために闘う青年。
 そして『クルーシブル』の農夫、『ボクサー』のストイックな刑務
所帰りのボクサーなどさまざまなデイ・ルイスに出会ったが、それら
を思い浮かべてみると、彼が演じた役柄に共通しているものがあるこ
とに気づく。それはストイックなまでに、ひたむきで高潔な魂を貫き
通す内面のパッションである。どんな汚れ役でも、演技を超えた彼の
精神性が感じられるのである。

 1957年4月29日、ロンドンに生まれたデイ・ルイスは桂冠詩人と
して知られた父、女優の母、そしてイギリス映画の元祖ともいうべき
大物プロデューサーの祖父をもち、極めて恵まれた環境に育っている。
彼がもつ知性と気品はそうした環境下で自然に身についたものなのか
もしれないが、彼はそれらに逆らうようにして自己を確立していった
ようだ。あくまで自分の意志で突き進む強さがある。どんな役も自分
に引き寄せ、消化してなりきってしまうその演技力は確かに称賛に値
するのだが、ファンとしては等身大の彼自身を表現できる役柄に迫っ
てほしいと願うばかり。とはいうものの、実際は気難しい性格らしく、
人づきあいもよくない彼のこと、ああ心配。脇役・悪役専門の怪優に
はなてほしくない。やはり、彼には主役を張ってほしい。
 44歳、まだまだやれる。優雅なダニエル・デイ・ルイスが見たい。

●私的ベスト5
1.『存在の耐えられない軽さ』(88)
(監督:フィリップ・カウフマン 共演:ジュリエット・ビノシュ)

2.『マイ・レフトフット』(89)
 (監督:ジム・シェリダン 共演:ブレンダ・フリッカー)

3.『ラスト・オブ・モヒカン』(92)
 (監督:マイケル・マン 共演:マデリーン・ストウ)

4.『クルーシブル』(96)
 (監督:ニコラス・ハイトナー 共演:ウィノナ・ライダー)

5.『マイ・ビューティフル・ランドレット』(85)
 (監督:スティーブン・フリアーズ 共演:ゴードン・ウォーネック)

●Keityの採点
ルックス★★★★
人気度★★★
演技力★★★★★
アクの強さ★★★
★★★★★抜群!文句ナシ  ★★★★役柄しだい ★★★ほどほど  ★★がんばれ!トホホ〉

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