一度見たら忘れない凄みある面相と雰囲気、脇役でも強烈な印象を残すようなタイプの俳優が好きなのだが、近年、俳優たちも平均化?してしまい、おお!と思うような人に出会っていなかった(ジョン・マルコヴィッチやレイ・リオッタなどは別で、彼らのことは追い追いじっくり書いてみたい)。 で、ベニチオ・デル・トロ(名前が覚えにくいので、略してベニトロと呼ぶ)。彼に目を奪われたのは、先の見えないスリリングな展開が面白かった『ユージュアル・サスペクツ』(95)である。 埠頭に停泊する貨物船爆破の真相をめぐって、詐欺師の証言をもとにそもそもの発端から出来事が再現されていくのだが、ニューヨーク市警と合衆国関税局は匿名の情報をもとに5人の“常習容疑者”に泥をはかせようと彼らをしぼる。話が非常に入り組んでいるのでここでは割愛するとして、その“常習容疑者”の一人を演じたのがベニトロだった。 その凄みのある目つき、雰囲気といい、いかにも常習の悪の匂いを発散させたヤクザなマッチョ?が印象的だった。マッチョが好きかと問われれば、人によって好きになったり、遠慮したりと勝手なもの。
そして『バスキア』('96)である。ニューヨークのアートシーンを駆け抜けた若き天才画家バスキアを描いたこの作品、画家のジュリアン・シュナーベルが監督して話題を呼んだ。ちなみにシュナーベルは、後にキューバの小説家で詩人、ゲイだったレイナルド・アレナスを描いた『夜になるまえに』('01)を撮っていて、こちらもいい。
話が横道にそれてしまったが、大ブレイクしたのは、やはりスティーブン・ソダーバーグ監督が描いた巨大麻薬コネクションをめぐる『トラフィック』(00)だろう。この作品、三つのストーリーがテンポよく進むドキュメンタリーのような迫力があり、犯罪映画の中でも異色である。
ただ、うれしいことにトミー・リー・ジョーンズと共演した『ハンテッド』(03)でベニトロの魅力を再認識した。元特殊部隊の兵士が過酷な戦闘で人格を破壊された連続殺人犯という役どころだったが、狂気の中にひそむ孤独がじわりと伝わってきて、わたしは涙したのである。
ガイ・リッチー監督(マドンナの夫)の『スナッチ』ではいい味だすも、ジャック・ニコルソン主演の『プレッジ』ではチョイ役怪演していてびっくりだったが、ベニトロはマッチョでストイック、無愛想なところがこれまた可愛らしい。まだ、37歳である。しっとりした恋愛映画は似合いそうもないのだが、コメディータッチのほんのりロマンスなら意外といけるのではないのかと期待を抱いているのである。 |
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2.『ハンテッド』(03)
(監督:ウィリアム・フリードキン 共演:トミー・リー・ジョーンズ、コニー・ニールセン)
3.『バスキア』(96)
(監督:ジュリアン・シュナーベル 共演:ジェフリー・ライト、デビット・ボウイ、デニス・ホッパー、ゲイリー・オールドマン)
4.『ユージュアル・サスペクツ』(95)
(監督:ブライアン・シンガー 共演:ケビン・スペイシー、ガブリエル・バーン、スティーヴン・ボールドウィン)
5.『Way of the gun/誘拐犯』(91)
(監督:クリストファー・マックァリー 共演:ライアン・フィリップ、ジュリエット・ルイス)