馬とわたし

「動物でいちばん好きなのは何?」と聞かれると、
すかさず「馬!」と答える。
昔、まだ子どもだったころ、我が家には童謡のレコードがいろいろとあった。
どれも絵入りのSP盤。そのうちの一枚が「お馬のおやこ」だった。
Tお馬のおやこは仲良しこよし〜Uで始まるこの童謡を聞いて育ったからなのか、
馬といえば、おやこのイメージなのである。
 あのころ、弟といっしょに父に連れられ、
家からそう遠くはない野原に遊びに行くと、
お馬のおやこがポックリポックリと歩いていたのを目にしたものだった。
小馬に寄りそう母馬の姿は「やさしい」の言葉を
わたしの心に刻みつけたのかもしれない。
 後年、肉眼で馬を見るということが少なくなった。
そのかわり、西部劇や時代劇に馬たちを見ることができてうれしいと思ったが、
「あんな転び方をしたら骨折するじゃないか!」
その扱われ方が無性に悲しかった。
 そんなわたしが日高の牧場に嫁いだ友人のところで
サラブレッドたちと遊ぶという日々に恵まれたことは幸運だった。
特に小馬が誕生すると、うれしくてたまらなかった。
まさにTお馬のおやこUの麗しい姿をカメラにおさめ、いつまでも眺めていた。
 競馬場にはまだ一度も足を運んだことはない。
テレビ中継はたまに観るけれど、
「サラブレッドは走るために生まれてきた」ということを理屈ではわかっていても、
そのけなげさが不憫にも思え、
「もっと速く〜」とはいえないのである。〈日高・広川牧場にて〉

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