五月の庭
北国の春はさまざまな花が一度に開花する。
たとえば、東京の梅は2月に花開くというのに、
北国では桜のシーズンころにやっと花開くのである。
帰省した実家の庭に梅が満開だった。
そして、秋には見事に実を結ぶ。その年の天候によって収穫は変動があるが、
母は毎年、梅干し、梅酒、梅の蜂蜜漬けなどを作り、
梅の実づくしでうれしい趣味の一つになっている。
一昨年など、20キロもの実が成ったという。
年々、梅の木は大きくなっていく。
これも父が残した庭なのだなあと満開の梅を眺めてそう思った。
庭には赤と黄色のチューリップも満開。
さらにタンポポがまるでここが我が家といわんばかりに咲きほこっていて、
その生命力の逞しさに感銘を受けたのであった。
ふきのとうはのび放題、ふきやよもぎもそこかしこに根をはり、
そのすき間を縫うようにしてアスパラガスがニョキニョキと頭を出している。
北国の五月の庭はにぎやか。
さらに六月になれば、あじさいも鮮やかなブルーを奏でるのだろう。
昨年までは父が育てたじゃがいもやトマトや枝豆やキュウリや
なすびが私を待っていたが、今年はそれらを見ることはないだろう。
しかし、今年は今年。再び、この庭を訪れるのがとても楽しみなのである。
名も知らない野草を新発見するのも楽しみなところ。
どんな季節の色が現われるのだろう。
これから見る実家の庭は父のあの破顔一笑を
思い起こさせてくれるものなのかもしれない。〈札幌にて〉