水族館

子どものころから水族館が好きだった。
生まれ育った室蘭市には祝津水族館というのがあって、
子どものころは家族で遊びに行ったものだ。
さまざまな魚を眺めるのが楽しかったし、
子どものわたしはそれらになりたいと思った。
子どもにありがちな夢である。
とんびが空に輪を描けば、「ああ、鳥になりたいなあ」と思うように。

いまから二十数年前、東京から叔母一家が室蘭に遊びに来たときに
みんなで祝津水族館へ出かけた。
そのころは5人のいとこたちも
上は小学5年、下は2歳と十分に子どもで、水族館は楽しかったらしい。
小学2年の次女が、大きなトドがごろんと寝ている姿を指差して
「見て、見て!あのトド、札幌のおばあちゃんみたい」といった。
翌日、一行は札幌へ移動。
水族館での孫のひと言を聞かされた祖母は、
「うっかり昼寝もできやしない」と少しむくれたらしい。
ちなみに小樽市にも同名の水族館がある。
そちらのほうは長じてからデートした思い出がある。
東京では品川にある水族館のトンネル水槽を見て感激し、
また、今年の冬に行った沖縄美ら海(ちゅらうみ)水族館の迫力に圧倒された。

水中に生息する生き物たちをガラス越しに見ることは、別世界を垣間見ることである。
さらに、自分自身が海に潜って魚たちにならって泳ぐということは、
非日常の世界を冒険することに似ているのかもしれない。
初めて宮古島でダイビングをしたときに見た海の世界は
まるでおとぎ話の龍宮城のようだった。
水深5〜10m、夏の太陽がエメラルドグリーンの海に溶け、
淡彩色のサンゴ礁やカラフルな魚たちが泳ぐ優雅な世界に感動した。
わたしにとってそれは人生最高の水族館なのかもしれない。
                           <沖縄美ら海水族館>

(1)  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

(16)  (17)  (18)  (19)

HOME/MENU