はじまりは、ここから

季節の蠢動を意識したと同時に、日はほんのりと長くなっていた。
あわただしく新しい町に移動し、とりあえず自分の位置を決めた。
しかし、問題が山積みであることに気がついたときにはすべてが動き出していた。
日々、自宅と駅との往復の時間に考えたのは、これがいまの自分なのだということ。
まわりの風景を楽しむひまもなく、ただ、同じ道を歩いていたように思う。

これでいいのかな、これではいけないね。
などと悩むよりも早く、時は先へ先へと進んでいたのだった。
問題を先送りするほど若くはないということは自覚していた。
気がつけば、繭の中に自分を発見した。
しかし、あるとき、いくつかの無私の優しさにふれてみて、
ああ、自分にもTくじけない心Uというものがあるだなと気づいた。
そして、「弱気が顔に出ている。壁をつくるな」といわれた瞬間、
顔がクシャラーとなって、解けた、溶けた。よかった。
新しい仲間たちとの出会い、自分を心配してくれた人たちに感謝した。
ここでこっそりと、ありがとう。

そうだよ、人間にはDNAにだってT屈しない心Uもあるのだから、大丈夫。
いつでも、はじまり。春夏秋冬、いつでもはじまりなのである。
はじまりは、ここから、自分から。              〈2006.4.29〉

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