(2)

オホーツクの旅人

住む人を無くして久しい廃屋に
きみは終の住み処を見たのか

そこかしこにうずたかく積まれた書物
びっしりと書き込まれたノートの山
絵の具が足りずに筆を折った未完のカンバス

身の丈をこす雑草が生い茂る庭には
きょうも鳥たちがやってきてのどを競い合う

草刈りは殺生だといって育てたふぞろいの野菜たちに
きみは感謝と敬意を表して食する

腹をすかした猫がニャーと泣けば
夕食の残ったおかずを差し出して
これはご馳走だよと声かける

ブンブン飛び交うハエたちの
にぎやかな会話も心地よく
ひらひら舞う蝶や蛾たちの
これ見よがしの踊りも楽しいと眺めやる

コルトレーンを聴きながら月を眺めて酒を飲む
昼間活けた野草たちがきみを見つめる
きみは一筋の光に照らされて瞑想する
静かに目覚めたころの昼下がり
外へ飛び出して日銭を稼ぐ

きみが過ごしてきた多くの時間
きみが残してきた大きな足跡
それらをなぞるようにして友らが訪れ
きみはボソボソといまの暮らしを語る

歌うたわずして詩人なるきみよ
それでいい
それでいい

宇宙の大生命にふれるきみよ
いつまでも
いつまでも

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