朝露にぬれてキラキラ光る薄桃色の道を降りてゆく
瞬時にすべてを丸呑みしてなめらかに刻む命の鼓動
この道があったからわたしは救われていた
横着にほうりこまれる有害無害の形を
丁寧に咀嚼するいまは空っぽの池をひとまわり
どんなに傷を負っても自らの力で再生する
薄いオーガンジーの膜で形づくられた母堂に
わたしは感嘆の声を上げ
ひざまずいて許しを乞う
偉大なる池につづく薄暗い部屋をたずねる
目立たぬように役目を果たしていた柔らかな力
「さっさとお帰り。もう、二度とくるんじゃないよ」
わたしは感涙にむせび踵をかえす
何度も何度も振り返った
そして、すべる坂道をのぼりながら考えた
わたしがこの世に生を受けたそのときから
わたしとともにありながら
春夏秋冬 盤根錯節
喜怒哀楽 暴飲暴食
わたしを受け入れてくれたその寛大さに感謝しよう
わたしの内にある荘厳な命の社をこわさぬよう努めよう
ここに生きよう
ここに生きる
わたしの命の鼓動を聞いていたいから
わたしは小さく光る眼
十二指腸から胃へ、そして食道へと
わたしはわたしの口腔から体外へと出でる